<第一回>
宇宙航空研究開発機構 SELENEプロジェクトチーム
サブマネージャ 高橋 道夫

 SELENEのサブマネージャの高橋です。
SELENEプロジェクトの中での役割は、SELENE開発の中心である各担当や開発メーカと協力して、SELENE衛星に要求される機能・性能をきちんと軌道上にて発揮できるよう、プロジェクトマネージャを補佐してまとめることに尽きます。
実際の開発にかかわる記事については、これから登場するメンバーが詳しくまとめてくれるはずですので、そちらをご覧ください。

 ということで、私からは現状を簡単に報告させてもらいます。
現在、SELENEは種子島宇宙センター内にある衛星試験棟にて、打上目標日に向けて準備作業を進めています。
これまで、筑波宇宙センターでの試験では搭載機器に対する手直しや、作業手順への反映を多く余儀なくされましたが、私が過去携わった多くの衛星に比較しても、此処種子島へ来てからはとても順調に作業・試験が行われていると言っていいでしょう。

 当初、衛星全体が組み上がった時には、何となくヒョロヒョロして貧相に見えたSELENEも、なかなかどうして黒いサーマルブランケット(断熱材)が良く似合う貴婦人然とした姿に変わりつつあります。
今月18日には、種子島での記者公開で打上準備が整いつつある素敵な状態でお披露目することになっていますので、どうぞご期待ください。
一方、私としては今回種子島へ来られなかった開発初期・中期に一緒に苦労した仲間やメーカの人たち、それに今まさに相模原にて打上げ後の運用準備をしているメンバーにも見せたい気持ちがあるのも事実です。
皆さんに期待されそれに応えるのは無論ですが、ここまで来ると彼ら仲間に対してこっちの準備はとても順調だよと安心してもらいたいですし、そっちも順調かぁ?とも声をかけたい。そんな心境にもなっています。

 そうそう、先日射場作業・試験立会いで種子島に滞在している時、朝方の散歩で虹を見ました。泊まっているホテルからちょっと離れたところにあるグラウンドから見えたのですが、ちょうど宇宙ヶ丘公園の方角から隣の屋久島に向かって幾分ぼんやりした虹でしたが、まるでロケットが空に向かって駆け上っていくような半円弧の虹でした。(本当は打上がったロケットは屋久島と反対側に飛翔するのですが、太陽との位置関係でそこまでは舞台は揃わなかった)

 打上げまでまだ期間はありますが、種子島で見た虹をまずは瑞兆として受け止めさせてもらい、日本のSELENEここにありと成果を掲げられるよう、これからも種子島での作業・試験、相模原での運用準備作業を確実に行って行きたいと思います。
2007年6月