「かぐや」カウントダウンレポート No.1
種子島衛星組立室で打ち上げ前の準備担当だった私は、勤務を終え、ロケットに積み込まれた「かぐや」の旅立ちを自分の目で見るために、カメラを持って移動した。疲れ切っているはずなのに、緊張と興奮の中、その時が来るのを待っていた。
機体(ロケット)移動中のロケット上部:打ち上げ約12時間前
先ほどまでノンフライトアイテム外していたフェアリングのアクセスドアが異様に小さく感じる。
まもなく総員待避命令が下りる時間だ。
射点に着座したML(移動台車):打ち上げ約12時間前
間近で見るロケットは言葉では表現できない迫力がある。
衛星側でできるチェックは完了している。どうか無事に飛んでほしい。
着座直後に突然のスコール。機体移動中でなくて良かった、、、との思い。
平山地区からみた射点:打ち上げ2時間前
射点までの距離は丁度3km。安全区域ぎりぎりの場所となる。
天候は良好。この調子であれば確実な発射が出来そうな予感がする。
衛星は打上げモードへの移行を着々と進めている。
リフトオフの瞬間:打ち上げから1~2秒後
「光った」と思った瞬間、ギャラリーから一斉に歓声があがった。
意外とゆっくり上昇しているように感じた。
リフトオフ直後:打ち上げから3~4秒後
炎が大きくなり、速度が増す。SSB(補助ブースター)に着火した瞬間であった。
この瞬間、爆音が周囲に轟いた。
リフトオフ後:打ち上げから約10秒後
速度はぐんぐん速くなり、爆音も「バリバリバリバリ・・・・・・」という感じであった。
機体を夢中でファインダーの中心にしようとしたが、興奮と周囲の光りで良く把握できない。
機体が徐々に西向きへ
「かぐや」よ、おまえは本当に旅立つのですね!
11年前のプロジェクト移行時からの日々が走馬燈のごとくよみがえる。
空に近い
雲の高さぐらいになったであろうか?あとは無事にフライトすることを祈るだけ。
ようやく肉眼で見る余裕がでてきた。
声援!!
ギャラリーから「がんばれよー」、「月まで行くんだぞー」といった声援があがる。
感動と太陽の光りに包まれ、かぐやを乗せた機体は見えなくなった。
写真/文 舘野 直樹