プラズマ観測装置(PACE)
観測機器概要

 現在の月の磁場・プラズマ環境を観測すると同時に、30~40億年前の月の磁場・プラズマ環境および月深部の進化を研究することを目的にしています。
PACEは、月の周りの電子を計測する電子分析器2台(ESA-S1とESA-S2)、太陽風イオンを計測するイオン分析器1台(IEA-S)そして月周辺のイオンを計測するイオン質量分析器1台(IMA-S)で構成されています。電子やイオンのエネルギー、密度、速度、温度、質量等を測定する事ができます。

図1:PACE センサーの写真と断面図
PACE センサーの写真と断面図


観測の原理

 PACEの各センサーは静電分析器と呼ばれるもので、センサー内部にある球殻状の電極間に電圧をかけることで、測定する電子、イオンのエネルギーを選別します。広い視野を確保するため、入り口には視野方向選択電極があります。IEA-S, IMA-Sには電気的に感度を変える機能があり、更にIMA-Sにはイオンの質量を測定する為の質量分析器が取り付けられています。



期待される成果

月表面のアルカリ物質分布

 地上からの光学観測によって月の大気にナトリウム、カリウムなどの元素がかなりの量で含まれていることが明かとなってきました。これらの大気は月表面を起源とするものと考えられていますが、その成因はまだよくわかっていません。PACEは月周辺空間でイオンのエネルギーや質量を測定することでこれらの成因を明らかにすると同時に、起源となっている月表面のナトリウム、カリウムなどのアルカリ物質の分布を調べます。

主要な観測性能

プラズマ観測
Plasma observation
(PACE)
エネルギー範囲
Energy range
5eV-15keV(ESA)
5eV/q-28keV/q(IEA,IMA)
方位測定分解能
Angular resolution
5°×8°(ESA)
5°×5°(IEA)
5°×5°(IMA)
測定間隔
Sampling interval
1 sec




PI紹介
PACE 齋藤 義文 Yoshifumi Saito

齋藤 義文
Yoshifumi Saito


宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究本部
宇宙プラズマ研究系