お知らせ(2008年4月)
愛知県名古屋市にある名古屋市科学館では、「かぐや」の模型とハイビジョンカメラが捉えた月の動画の上映が行われています。
このたび、科学館の方からコメントと展示風景の写真をお送りいただきました。
“名古屋市科学館からのコメント”
名古屋市科学館の天文館2階展示室では、月周回衛星「かぐや」のハイビジョン映像、1/50スケールの「かぐや」模型を展示しています。映像はJAXA/NHKの番組素材のハイビジョン映像で、全編22分を一日中いつでもご覧いただけます。JAXAで精巧に作られた1/50模型は、この3月に撮影された満地球の映像を背景に展示してあります。
なお、2008年9月のプラネタリウム一般投影「『かぐや』の月探査」では、日本が誇る「かぐや」の成果をさまざまな映像を交えながら紹介します。お楽しみに。
【展示物】
・月周回衛星「かぐや」1/50模型
・月周回衛星「かぐや」ハイビジョン映像
名古屋市科学館
http://www.ncsm.city.nagoya.jp/astro/
4月21日(月)にJAXA東京事務所にて「かぐや」のドキュメンタリービデオ『遥かなる月へ -月周回衛星「かぐや」の軌跡 -』の映像試写を行いました。
報道関係者等の方にもお越し頂き、約30分の映像を上映いたしました。
また、ナレーション、挿入歌を担当して頂いた山本容子さんやBGMを担当して頂いた楯直己氏にもお越しいただき、最後に「かぐや」のハイビジョン映像とともに、山本容子さんが歌う今回の挿入歌である「朧月夜」をご披露していただきました。
「かぐや」が撮影した静かな月の世界に、山本さんの澄んだ歌声が一層月の神秘を感じさせるようでした。
この「かぐや」ドキュメンタリービデオについては
こちらをご覧ください。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、月周回衛星「かぐや(SELENE)」を、2007年9月14日に打上げ、その後定常観測を昨年12月以来続けており、貴重な観測データの取得を継続しております。
このたび、「かぐや」の打上げから定常運用開始までの運用室での運用状況を、プロジェクトマネージャ、サイエンスマネージャ、観測機器チームのインタビューおよび初期画像とともにまとめたドキュメンタリービデオ 「遥かなる月へ -月周回衛星「かぐや」の軌跡 -」を作成いたしました。
「かぐや」の打上げから定常運用開始までの、貴重な「かぐや」運用室の現場の状況を、「かぐや」から得られたクリアな映像や画像とともに、ご覧いただけます。
なお、本ドキュメンタリービデオは、教育目的(含む科学館などでの上映)においては、「かぐや」の運用を広く国民のみなさまに知っていただくため、ブルーレイ、DVDにて無償で貸し出しを行いますので、当HPあるいは
広報部までお問い合わせください。
ドキュメンタリービデオ『遥かなる月へ - 月周回衛星「かぐや」の軌跡 -』
挿入歌 『朧月夜』
レインブック(山本容子さん)HP
http://www.therainbook.com/
(
レインブック 『千本桜』 Copyright © TAKUMI NOTE)
天才アヒル倶楽部(楯直己氏)HP
http://www.t-ahiru.jp/
茨城県つくば市にある
国土地理院(本院)1階ロビー展示施設で、本日から4月30日まで「かぐや」のレーザ高度計(LALT)が取得した月の全球データから作成された月の地形図が展示されます。
また、地図と測量の科学館の地図ギャラリーでも平射図法の図とメルカトル図法の図を展示されています。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星「かぐや(SELENE)」とリレー衛星「おきな」に搭載された中継器(RSAT)を用いて、 RSAT/VRAD観測機器チームが実施した4ウェイドップラ観測データを解析して得られた月の表側と裏側の重力異常図において新しい知見が得られました。
参照「
プレスリリース」
リレー衛星中継器(RSAT)
平成20年4月6日(日本時間)、「かぐや(SELENE)」に搭載されたハイビジョンカメラ(HDTV)により、「満地球の出」の動画撮影に成功しました。
プレスリリース >>
平成19年11月7日に撮影した「地球の出」は満地球(全面が青く輝いて円く見える地球のこと)ではなく、少し欠けた地球でした。今回は、この「満地球の出」を約38万Km隔てた遠い宇宙からハイビジョン撮影したもので、これは世界で初めてです。なお、「かぐや」からハイビジョンカメラにより満地球を撮影できるタイミングは、月、地球、太陽と「かぐや」の軌道が一直線という位置関係に並ぶ年に2回しかない貴重なものです。
HDTVによる「満地球の出」(動画切り出し)
本日の宇宙開発委員会において、下記の内容について報告いたしました。
・月周回衛星「かぐや(SELENE)」のレーザ高度計(LALT)による月全球観測データを用いた地形図の公開について
・月周回衛星「かぐや(SELENE)」のガンマ線分光計(GRS)の観測データ異常について
参照「
プレスリリース」
「
かぐや画像ギャラリー」に地形カメラ(TC)がとらえたナガオカクレータの画像が追加されました。
公開にあたり、地形カメラ(TC)のPIからのコメントが寄せられました。
「月面にはたくさんのクレータがありますが、日本人の名前が付いているものは10個程度で多くありません。長岡(ナガオカ)クレータは、地形カメラが撮った日本人名が付いた最初のクレータです。奇しくも私たちのチームの研究者の中に、長岡半太郎のひ孫さんと同級生だったと言う方が二人も居られました。そのお二人は実は兄弟であったということもわかりました。非常に不思議な縁でした。
今回、そのうちのお兄様であられるシンタロウ氏から、コメントをいただきました。是非ご覧ください。(コメントは
こちら)
さて、長岡半太郎による深い洞察結果である土星型原子モデルの提唱は、それを導くような数多くの精度の高い信頼に足る(そしてその殆どは地道な)実験結果があって初めて可能だったと思います。そして、土星型原子モデルの提唱の後に行われた注意深いラザフォードの実験で原子の存在が明らかになり、土星型のような原子モデルの正しさが裏付けられたのでした。
その後、これまでの理論で説明できないような実験結果が現れ、更に深い考察と計算の上に新しい原子核理論、そして量子理論が構築されていきました。科学は、実験や観測、そして理論構築が、互いの精度を基礎において積み重ねて行われていくため、それぞれのその一歩一歩は、確実にされていくことが必要になります。そうでなければ途中から砂上の楼閣になってしまいます。
私たちLISM(TC,MI,SP)チームは、これまで、打ち上げ前に繰り返し行って得た試験実験データや過去の他の探査機のデータを利用して、実際の月で取得されたデータの確からしさを検証し、また較正用データも作成するなどして、より正しいデータを作るよう努力してきました。現在、検証も順調にすすみ、今後いよいよ本格的な解析へと進んでいきます。
私たちは、月惑星科学の新しい理論を導くための礎になるような精度の高い(確からしい)データを出し、そしてまた、それらデータから、今後の月惑星科学にとって重要な理論などを提出できるようにこれから更に力を入れていきたいと思っています。
LISM/地形カメラの観測は、まだまだ続き、データの検証作業も続きますが、これからは、得られた画像や、興味深い解析結果などを、色々と公開していきたいと思っています。ご期待ください。」
(春山 純一 (
LISM/地形カメラ PI)
長岡半太郎 - 日本の科学者・技術者100人 - 田中舘愛橘記念科学館ホームページ -