【「かぐや」の成果 ~ お知らせ 2013.6月 】





【「かぐや」と「チャンドラヤーン1号」に搭載された観測機器データの相互評価について】


    本内容は、2013年6月1日付けで米科学雑誌「Icarus」に掲載された論文「One Moon, Many Measurements 3: Spectral reflectance (Makiko Ohtake et al.)」に関するものです。


    本研究は「かぐや」とインドの衛星「チャンドラヤーン1号」に搭載された月面反射光を観測した複数の機器データを比較し、それぞれの観測機器データの測定精度やデータの特徴、複数機器データを合わせて解析する事のメリットについて報告しています。

    「かぐや」をはじめとした複数の月探査衛星が打ち上げられ、それぞれに月面反射光を観測するための機器が搭載されて観測データが得られた結果、我々は初めてこれらのデータを比較・評価する事が出来るようになりました。

    今回、日本の衛星「かぐや」とインドの衛星「チャンドラヤーン1号」に搭載された、合計5つの月面反射光観測機器チームが協力し、観測データを特徴的な地質領域について比較しました。

     その結果、月面の反射率の値そのものは機器ごとの性能や特性を反映してやや異なるものの、月面科学組成を知るために最も重要な反射光のスペクトル形状については、異なる機器間でよく一致する事が解りました。

     そして、ブリアルディスクレータ(図)について、各機器の持つ利点(高い空間分解能、高い波長分解能など)を最大限活用して統合的に解析する事で、中央丘(※)に見られる複雑な岩石層がどのように形成されたのかを、これまでにない詳細さで調べられる事を示しました。これは各国のデータを組み合わせて、より大きな科学成果を生み出すことが可能であること、そして「かぐや」のデータがそのような成果に貢献できることも示しています。


     この論文で紹介されているブリアルディスクレータをはじめとして、「かぐや」の観測データはJAXAのウェブページで公開されており、ダウンロードして見る事ができます。
     データの公開ページはこちら:
     「かぐや(SELENE)データアーカイブ」
      http://l2db.selene.darts.isas.jaxa.jp/index.html.ja

 (※)大型のクレータ中央にできる丘で、地下の岩石が表面に隆起して形成される地形のこと。



図 MIによるブリアルディスクレータ画像
(RGBカラー合成画像。色の違いは岩石の種類を表している。)


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